『山猫の夏』
ブラジル東北部のエクルウは、アンドラーデ家とビーステルフェルト家に支配されていました。両家は何かと対立し、殺し合いが絶えません。そんな町に「山猫」こと弓削一徳が現れました。
『猛き箱舟』
香坂正次は、海外進出日本企業の非合法活動を担う男に近づいて行きました。彼に認められた正次に与えられた仕事は、砂漠の小さな鉱山を、敵の攻撃から守ることでした。
『伝説なき地』 日本推理作家協会賞受賞
ベネズエラの涸れた油田地帯に、多数の難民が住み着き、マリアという聖女を中心に団結していました。その中の日本人、鍛冶と丹波が、地主の攻撃に備えます。
『砂のクロニクル』 山本周五郎賞受賞
クルド民族の悲願は、独立国家の樹立です。聖地マハバードに集結して、武装蜂起しようとする彼らでしたが、武器が欠乏していました。そこで、武器の密輸を謎の日本人「ハジ」に託しました。
『蝦夷地別件』
18世紀末、蝦夷と呼ばれるアイヌ民族は、和人の横暴に喘いでいました。アイヌ民族最後の蜂起「国後・目梨の乱」を描いた物語です。
『虹の谷の五月』 直木賞受賞
13歳のトシオは、フィリピンのセブ島に祖父と暮らしていました。丸い虹がかかる谷をめぐり、彼はゲリラの抗争に巻き込まれていきます。
『神話の果て』
破壊工作員・志度正平は、アメリカ巨大鉱業会社から、ペルーの山岳ゲリラの首領抹殺の仕事を依頼されます。彼は、二人のインディオとともに、チャカラコ溪谷に向かいます。
『黄色い蜃気楼』
旅客機が墜落したのは、灼熱の砂漠でした。助かった鶴見は、懐中に機密書類を抱えていました。熱砂の中で、命をかけたサバイバルが続きます。
『かくも短き眠り』
チャウシェスク政権崩壊後のルーマニア。元傭兵の日本人の主人公が、巨額な遺産相続人を探して乗り込みます。
『午後の行商人』
カメラマンを目指し、メキシコを旅する香月哲夫は、ある夜、暴漢に襲われましたが、老いた行商人に助けられます。
『流砂の塔』
横浜でロシア女性が殺されました。手口は、1か月前、広東省・梅県で起きた事件と酷似していました。育ての親に指示され、海津明彦は、梅県に向かいます。
『海燕ホテル・ブルー』
5年の刑期を終えた藤堂は、友の復讐と再度でかいヤマを踏むことに、燃えるような信念を抱いていました。が、一人の女に会った日から、次第に薄れていきます。
『新宿・夏に死』
老いた父親が、人生最後を、息子の復讐のために使い切ろうと、新宿を疾走します。
『夢は荒れ地を』
自衛官の樽本は、長年、行方不明の友人を捜しに、カンボジアにやってきます。
『金門島流離譚』
ここは、かつて人民解放軍と国民党軍の激戦最前線でした。元商社社員の藤堂は、その島で密貿易を行い、したたかに生きていました。
『降臨の群れ』
インドネシアのアンボン島、ここでは、イスラム教徒とキリスト教徒の血の抗争がありました。この地に住む日本人技術指導者・笹沢は、抗争に巻き込まれていきます。
『蝶舞う館』
ベトナムは、多数派キン族が支配していました。だが、中部高原には、少数民族モンタニャールの存在がありました。
『河畔に標なく』
軍事政権下のミャンマーで、山中に落下したヘリに積まれていた200万ドルをめぐり、日本人ビジネスマン、裏社会の中国人、副刑務所長らが暗闘します。