乃南アサさんの代表作・おススメ作品集
乃南アサさんは、女性ならではの鋭い視点で、心理描写に定評のある作家です。多くの作品がありますが、どの作品の登場人物にも惹きつけられます。有名なのは、直木賞を受賞した『凍れる牙』、中央公論文芸賞を受賞した『地のはてから』です。
女刑事、音道貴子シリーズ
『凍れる牙』
獣の咬傷がある男の死体が発見されます。異常な事件を起こしている怨念は何なのか。
女性刑事の孤独な闘いが、圧倒的共感を集めた、大ベストセラーです。
乃南アサさんの会心作です。男社会の中で闘う音道貴子に共感し、応援しました。
『鎖』
音道貴子が監禁されてしまいます。行方不明となった貴子を救出するため懸命に捜査しますが、なかなか見つかりません。ついに貴子は気力も体力も限界になってしまいます。ドキドキするストーリー展開です。
『風の墓碑銘』
民家の解体現場から、白骨死体が発見されます。音道貴子達は捜査しますが、謎が謎を呼ぶ難事件になります。
『風紋』
ある殺人事件をめぐる家族の物語です。真に迫る心理描写で、登場人物の気持ちと一体化してしまい、心苦しくなってしまいました。
『晩鐘』
犯罪被害者の問題を真っ向から取り上げた作品です。『風紋』と同様に、心理描写がすぐれた大作です。
新米警官、高木聖大シリーズ
『ボクの町』
『駆け込み交番』
マエ持ち女二人組シリーズ
『いつか陽のあたる場所で』
『すれ違う背中を』
『いちばん長い夜に』
その他
『しゃぼん玉』
通り魔を繰り返す卑劣な青年が山村に逃げ込みます。何も知らない村人たちと青年の、ていねいに描かれた心理サスペンスはサスペンスというより、ヒューマンドラマです。
『地のはてから』
今までの乃南アサさんのサスペンスとは、異なった小説です。
大正時代から昭和時代の北海道知床に、開拓移住した家族の物語です。厳しい自然環境で、過酷な境遇に置かれる主人公とわ、とわの生き様をていねいに描いています。人生を生き抜くことを考えさせられる作品です。
『水曜日の凱旋』
終戦。男たちは戦争に敗れ、敗戦国日本は、女たちを進駐軍に差し出しました。十四歳の主人公鈴子は、様々な女性たちの変化を見つめていきます。戦争中から戦後の様子がうまく描かれています。
『すずの爪あと短編傑作選』
著作者らしい人間描写の優れた11編の短編集です。表題の『すずの爪あと』は、原発誘致と震災に揺れる人々の心理を、猫の目を通して表現しています。
『チーム・オベリベリ』
明治時代。北海道十勝の原野で生き抜いた女性がいました。鈴木カネは、宣教師たちが開いた横浜の共立女学校で学び、父や兄と同じように聖書の教えを受け信仰を持ちました。兄は、渡辺勝、依田勉三と、北海道開拓のため「晩成社」を立ち上げ、新天地へ向かいます。明治15年(1882)年、カネは渡辺勝と結婚し、オベリベリと呼ばれた帯広へ行くことを決めます。