『秋葉原先留交番ゆうれい付き』
トドのような身体で頭脳明晰の権田は、秋葉原先留交番勤務のオタクの警官です。コンビを組むイケメン警官の向谷は、コミュニケーション能力が高く、足だけの幽霊を連れてきます。秋葉原で起きる5つの事件を二人が解き明かします。
『まるまるの毬』
江戸・麹町の菓子店「南星屋」は、武士から転身した治兵衛、出戻り娘のお永、その娘のお君の親子三代が切り盛りするお店です。治兵衛は全国修業に出、自ら作る全国の名菓は絶品でした。が、治兵衛には、秘密がありました。
『永田町小町バトル』
野党から出馬し、初当選した芹沢小町は、現役キャバクラ嬢でありながら、夜の銀座で働く親たちのため託児施設を立ち上げ、メディアで話題になっていました。彼女は、子育てに関わる問題に取り組んでいきますが、法律を変えることはできるのでしょうか。
『千年鬼』
森で暮らす小鬼は、弟を探して迷っていた少女・民と出会います。過去見の術を使う小鬼は、民の身内に鬼の芽を生じさせたため、千年にわたって鬼の芽を摘み取る業を自らに課します。人の心理を描いたファンタジー小説です。
『猫の傀儡(くぐつ)』
猫町で暮らす野良猫のミスジは、「傀儡師」となりました。傀儡師とは、人を遣い、人を操り、猫のために働かせることができる猫のことです。ミスジは、次々と依頼される猫の困りごとを解決していきます。
『四色の藍』
藍染の紺屋の女将・紫屋環は、3か月前に夫が殺され、その事件を調べるため、大店の東雲屋を探っていました。そこで彼女は、東雲屋ゆかりの者に恨みを持つ女たちと出会います。
『九十九藤』
お藤は、苦労して江戸の人材派遣業、口入屋の冬屋の女主人となります。払いが悪く悶着の多い武家が相手の商いで傾いた店を救おうと、男の奉公人志願者に徹底した家事を指南し、大店へ送り込みます。
『烏金』
浅吉は、因業な金貸し婆・お吟のもとで手伝いをしています。彼は、新しい考えで借金をなくし、貧乏人たちを助けていきます。
『はむ・はたる』
勝平たち15人の孤児たちは、スリやかっぱらいをやめて、まっとうな商売を始めます。彼らは、温かい人々の助けを借りながら小さな事件を解決に解決していきます。連作時代小説です。
『心淋し川』 直木賞受賞
「心淋し川」は、千駄木のはずれにある小さな淀んだ川です。そこで生きる人々の喜びと哀しみを描いた全6編の物語です。
お蔦さんの神楽坂日記シリーズ
元芸者で粋なお蔦さんは、ご近所の人気者です。滝本望は、そんな祖母と神楽坂で二人暮らしをしています。粋と人情の街、神楽坂で起こる事件をお蔦さんが解決します。
『無花果の実のなるころに』
『いつもが消えた日』
『みやこさわぎ』
『よろずを引くもの』
高校生の滝本望は、お蔦さんと呼ばれご近所に親しまれている祖母と神楽坂で暮らしています。二人は神楽坂で起こる事件を解決していきます。
「よろずを引くもの」神楽坂で万引きが多発していると警戒していた矢先、和菓子店の主人が逃げる犯人に突き飛ばされて怪我をします。
「孤高の猫」神楽坂でアイドル猫ハイドンがいなくなってしまいます。
全7編の短編集です。
『睦月童』
ある東北の村から日本橋の酒問屋に招かれた少女・イオは、人の罪を映すという不思議な目を持っていました。荒れた生活をしていた酒問屋の跡取り息子・央介は、イオの目を見たことで良心の呵責に襲われます。やがて更生した央介はイオとともに、江戸で起きる事件を解決していきます。
『金春屋ゴメス』 日本ファンタジーノベル大賞
近未来の日本。大学2年の辰次郎は、難関を突破して鎖国状態の「江戸国」に入国を許可されます。その請負人は、大盗賊も震え上がるという長崎奉行馬込播磨守「金春屋ゴメス」でした。辰次郎はゴメスに流行病「鬼赤痢」の正体を突き止めるよう命じられます。
『わかれ縁』
江戸時代。最低の亭主に絶望し家を飛び出した絵乃は、離縁の調停を行う公事宿に流れ着きます。夫との離縁を望むも依頼できるだけの金を持たない彼女は、離縁請負人のもとで働くことになります。
『雨上がり月霞む夜』
幼馴染の二人、がさつで情に厚い秋成と、死者や妖しと交流することができる雨月は、人間の言葉を話す兎・遊戯と出会ってから、様々な怪事件に巻き込まれます。『雨月物語』を基とし、『雨月物語』への著者の深い思いを感じる幻想的な連作短編集です。
「磯良の来訪」より
「世間のいう貞淑な妻というものは、要は嫁ぎ先や舅姑にとって、使い勝手がいいというだけの話よ。ひたすら夫に尽くし、その親に仕え、子を育てる。女子自身の一生は、どこにあるというのよ?その上に、亭主が浮気をしても悋気は表に出さず、騒ぎ立てることなく堪えるですって?馬鹿にするのもいい加減にしてほしいわ。そんなの、お人形と同じじゃないの!」